蓮池通信
子ども×神奈川県立美術館・鎌倉館

蓮池通信ブログ

本サイトは、横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉小学校の子どもたちと神奈川県立近代美術館鎌倉館との交流から生まれました。 これまでの交流記録をはじめ、現在の活動の様子や子どもたち自身が日々感じていることをブログで少しずつ発信していきます。

ミナモの波紋のように、だんだん広がって、大きくなることを願って…。

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投稿者: grouprough

蓮池を書く

2008.07.17 Thursday


6月1日に行われた小説家 島田雅彦さんのワークショップ「蓮池を書く」に子どもたちが参加しました。そのワークショップで生まれた作品を紹介します。

空腹の毎日                パセリ(中学1年)

名前はない。
親も知らない。
知っているのは自分が蓮池にいるということくらい。それでもちゃんと生きている。寒い時も暑い時もちゃんと乗り越えてきた。傷だらけになっても…。
でもいつも空腹。

今日はパンをもらった。人がパンを投げてくれたのだ。カラスはうらやましそうにこちらを見ていた。実はみんな空腹なのだ。僕の1日は食べ物を探すことから始まる。蓮の間にかくれ、じっと獲物を待ちかまえる。でも空腹で集中力が落ち、いつも動いてしまうから獲物は逃げてしまう。でも追いかけて捕まえるような体力はない。だから自分で獲物をとれる時はまれである。頼りになるのは観光客がくれるパンだけ。でも人は僕をつついてきたりする。人にもいろいろ種類があるようだ。

そういえば、蓮池にはたくさんスッポンがいる。僕はみんなで一緒に暮らせばいいのでは?と思うのだが、みんなは孤独を好み、僕が「おーい!」と近づいていくと逃げていってしまう。「みんなで獲物をとるほうが好都合なのに。」といつも思う。仕方なく、巣に戻るといいことを思いついた。「亀だ!亀を仲間にすればいいんだ。」

次の日に早速実行した。亀はみんなからノロマと思われているが、実は速い。腹が減って動けないだけなのだ。巣を出ると、亀が僕の前を横切った。体は大きくて強そうなヤツだ。思い切って話しかけたが、あっさり断わられてしまった。その後もいろんな亀に声をかけたがダメだった。仕方なく巣に戻ろうとするとカラスに会った。カラスに「仲間になって下さい。」と言うと、なんと仲間になってくれた。

次の日、カラスに連れられてゴミの収集所に向かった。そこには飯がたくさんあって今までにないくらい腹が満たされた。その次の日もカラスとゴミ収集所に行って、腹を満たした。そんなカラスとの毎日が何日も続いたある日、僕はふと思った。蓮池の他のスッポンのことだ。なぜ孤独が好きな連中のことを思ったのかわからない。連中のことを思っていると体がどんどんだるくなっていった。蓮池のきれいな水を飲んでいないせいかもしれない。「蓮池に戻りたい。」と僕は思った。体がだるいということをカラスに話すと、僕を蓮池に戻してくれた。

次の日の朝はいつになく気持ちがよかった。僕は思った。
「空腹でもやっぱりここがいい。」
あくる日から僕の空腹の毎日がまた始まった。

Photo by Ken Kato

ワークショップ | 15:07 | comments(2)

コメント

暇な時
美術館行ったら
ほっとするかも・・・。

ロード | 2008/07/19 1:57 PM

ひとりになりたい時、
美術館の蓮池を見に
行きたくなるのは私だけじゃないはず。。。

LOVE&PEACE | 2008/07/19 8:34 PM

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